葉酸が必要な理由とは?
妊娠中は葉酸を摂りましょうと、お医者さんや助産師さんに言われます。その理由をご存知ですか?
胎児の先天異常のリスクを減らす
妊娠中の葉酸摂取は、胎児の正常な発育に重要な役割を果たしています。具体的には「妊娠初期に胎児に現れる神経管閉鎖障害という先天異常を減らす」ということです。発育の過程で神経管閉鎖障害を引き起こすと、胎児は無脳症や脳瘤、二分脊椎等の命に関わる病気を患うことになります。
この病気を治す手立ては今のところなく、予防をすることが重要と言えます。葉酸を摂取した場合、神経管閉鎖障害のリスクが減る、というのはさまざまな研究により明らかであり、かなり有効な手段と言えます。よって昨今の日本でも、厚生労働省を筆頭に妊娠中の女性に対する葉酸摂取の推奨がなされているのです。
しかしこの神経管閉鎖障害を予防するために、実はベビ待ちの期間から意識的に葉酸を摂っておくべきと言えます。なぜなら「神経管閉鎖障害は21~28日の妊娠初期」に起きるものだからです。子宮で受精、着床に成功すると、受精卵は細胞分裂を始めます。その初期の段階で神経管が形成される際にうまくいかないのが、神経管閉鎖障害です。
よってその時点で葉酸が充分に足りた状態でなければなりません。妊娠21~28日で妊娠を自覚する人はごくわずかですから、気付いてから葉酸を摂っても神経管閉鎖障害を防ぐ効果は期待できません。そのためベビ待ちや妊活の期間から、葉酸摂取を意識することが重要なのです。
妊娠中の貧血予防効果がある
葉酸はそもそも「造血ビタミン」とも言われるほど、血液に深い関わりを持った栄養素です。葉酸は血液中で酸素や栄養分を運搬する赤血球を正常に作りだす働きがあるのです。そのため葉酸が足りなくなると、血液中の赤血球が不足するという状態になり、その結果貧血になってしまうのです。
妊娠中は胎児の発育に、血液がとられてしまうのでなおさらです。血を作りだす葉酸は、胎児が元気に発育するために、また妊婦自身が健康に過ごすために必要不可欠だということです。
葉酸摂取の仕方は?
食品からの摂取
葉酸は食品にも含まれています。葉酸が多く含まれるものを以下で一部をご紹介します。
- レバー
- 緑の葉もの野菜類
- アスパラガス
- ブロッコリー
- 枝豆など
これらは葉酸が多く含まれると言われます。しかし食品の葉酸は、過熱調理をすると50パーセントが失われてしまいます。また食品の葉酸は体内利用効率が50パーセント以下だとも言われています。
食品から葉酸を充分に摂ろうとすると、かなりの量を食べなければ1日の推奨量に間に合いません。例えばブロッコリーの場合、妊婦は1日で8房食べなければいけないということになります。この量は非現実的ですよね。そこでおすすめなのが、サプリメントによる葉酸摂取です。
サプリメントからの摂取
体内利用効率が悪い食品の葉酸ですが、一方でサプリメントの葉酸なら85パーセントと高めです。しかも上記の神経管閉鎖障害のリスクに関して研究結果が出たのは、サプリメントの葉酸によるものだったため、予防効果を求めるためにはサプリメントでの摂取をするべきと言えます。ただしサプリメントは薬剤師などの専門家の説明の下で選ぶことがおすすめです。
その理由のひとつは、葉酸の摂取量には上限があり、それを超えない量で調整できるものをきちんと見極める必要があるからです。ちなみに葉酸摂取の上限は1mg/日です。これを超えると過剰摂取の副作用が起きることがあります。
そしてふたつめは、多くのメーカーが出している品から良いものを選びとり、正しく使うことが求められるからです。せっかく葉酸を摂取するために、品質の分からないものを選んでしまったり、摂取の仕方を誤ってしまってはもったいないですよね。葉酸サプリメントはネットやコンビニで気軽に購入もできますが、今一度専門家に選び方を聞いてみるのが、効果を得る一番の近道と言えるでしょう。